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新聞 2003年7月10日

ケータイをメール機に

月刊アスキー 遠藤 諭のデジタル業界 激注目メモケータイをメール機に
リュウド折り畳み式外付けキーボード

 ケータイは、「携帯メール機」である。
 ビデオリサーチが行った「携帯電話の利用実態」によると、自宅、職場・学校、駅・バス停、移動中(電車・バス・車の中)、屋外(店など)の中で、「通話」が「メール」より頻繁に使われるのは、そもそも利用頻度が少ない車の中と店の中のみ。12−30歳を対象にした内閣府の調査でもメールがはるかに利用されているという結果が出ている。とくに、15−17歳の46.4%が1日10回以上メールしている。

 ところが、だ。いまの日本のケータイは、依然として音声通話のための仕様になっている。欧米では、小さいながらもアルファベットキーボード付きの端末が次々に登場しているのに、だ。
 そんな、ちょっぴりイビツな日本の携帯電話にPDA(個人情報端末)以上の文字入力パワーを与えようというのが、リュウドの折り畳み式キーボード「Rboard for Keitai 300i」(オープン価格、http://www.reudo.co.jp/)である。

「携帯をPDAに…」の信念で驚きのギミック搭載

左右に開けば30個のキーが浮き上がる 同社は、「携帯をPDAにする」べく奮闘している会社である。今年1月には携帯初のフルキー感覚の外付けキーボードを発売したが、今回はさらなるコンパクト化(収納時の薄型化)とギミックを実現している。
 とかく、この手の折り畳み式は使い出すまでの準備が面倒だが、これは「準備自体が楽しくなる」と言っても大げさではない。パッと開いてキーボードを左右に引っ張ると、中央から隠れていた30個のキーが浮き上がってくるのだ(写真)。

 道具というものは、この種の「シャッキリ感」が大切で、これで突然、大量のメールを書いてやろうという気分になる(それだけ仕事が進む!)。書き終えたら、キーボードを左右に引いて押し込む。すると、さきほど浮き上がった部分が舞台の下に沈むように見えなくなり、収納完了だ。

 同社は、この企画から発売までに1年半、東京都内に新築のワンルームマンションが買えるほどの初期開発費をつぎ込んだという。大幅な予算オーバーの裏には「携帯をPDAにする」という強い信念があったのだ。
 もっと快適に携帯で文字入力したいというニーズは高い。「マンション費用程度でこんなキーボードができるなら、おれが金を出してもいい」という御仁が全国に1、2人くらい出てきてもおかしくないかもしれない。そんな気分にさせてくれるパワフルな「携帯メール機」の味方である。